すくも藍と沈澱藍

含藍植物から作る染料の形態には、すくも藍と沈澱藍があり、すくも藍は、主に温帯地域で、沈澱藍は亜熱帯から熱帯地域で作られる。

△すくも藍

日本ではタデアイの生葉を短時間で乾燥させ、その乾燥葉に水分を加え、よく切り返しながら100日余りをかけて発酵させ、堆肥状のすくもにする。

△ウォードボール

フランスでは、ホソバタイセイ(ウォード)の生葉を潰してボール状にして発酵させ、ウォードボールを作り、次にウォードボールを砕いて水分を加えながら再度発酵させ、すくもにする。

△沖縄県本部町の琉球藍=沈澱藍、泥藍とも呼ばれる。

リュウキュウアイからブータンではすくもを作るが、

沖縄や東南アジアの北部では、生葉と茎を2日余り水に浸け、藍=インジゴになる成分を抽出、

その液に石灰を添加して撹拌、酸化させると、不溶性のインジゴになり、液中に沈澱するため、沈澱藍という。

△インド東南部の沈澱藍Indigo cake、藍染、絵画、印刷、塗装などに使われてきた。

インドアイの生葉茎を約1日間水に浸け、藍=インジゴになる成分を抽出、茎葉を取り出し、その液を酸化させると、不溶性のインジゴになり、沈澱する。その上澄み液を流し、底にあるインジゴをくみ出し加熱する。

木枠に布を敷き沈澱したペーストを入れ、圧縮し水分をきる。硬くなったペーストを四角く切って天日で乾燥させる。

インドでは、酸化のみで沈澱藍をつくるため、ほぼ中性である。

日本でも、明治初期にタデアイから沈澱藍を製造し、専売所が設けられた時代があった。

△甕で保存するタイの生の沈澱藍ペースト

ラオス、タイ、石垣島では、インドアイの浸漬液を酸化する時に石灰乳を投入するため、沈澱した藍はアルカリ性になり、加熱しないで保存する。