画材 -1 Artist’s Materials -1

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・藍棒(棒絵具):膠やアラビアゴムにて練り固め、固形水彩絵具と同様に水にて溶き下ろします。
水溶性展色・固着剤として基底物(紙や布)への定着力があります。

・パステル: 微粒状顔料+白色粘土+つなぎ剤
アラビアゴム、トラガカントゴムなどの樹脂、他メチルセルロースも用いられています。
粉末状で基底物に付着いたしますが、顔料の画面への固着性は弱いため、描画後には、
定着液(フキサチーフ)を用いることが多いです。

・水彩絵具における、顔料と展色・固着剤との混合比
・透明水彩: 微粒状顔料+アラビアゴム多め
・不透明水彩: 微粒状顔料+アラビアゴム少なめ
双方、グリセリンなども加えられております(保湿性)

他に、アクリル絵具(顔料+アクリル樹脂の乳化液)もあります。(水性で速乾性、乾燥後は耐水性あり)
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・江戸中・後期の伊藤若冲の、「動植綵絵」には、群青と藍のほかにもプルシアン・ブルーを使用
(群青は鉱物アズライト/藍銅鉱・塩基性炭酸銅が原料)

・江戸中期の鈴木春信の美人画には露草を使用
・江戸後期の東洲斎写楽の役者絵には藍を使用

・プルシアン・ブルーは18世紀初頭にベルリンでつくられ江戸中期(1747)に日本に輸入された青色合成顔料。
水溶性で鮮やかな青色を保ちながら濃淡表現が出来、また、変褪色することがない利点からこの顔料を活用
(“ベルリンの藍”を略した“ベロ藍”との呼称も)

・葛飾北斎「富嶽三十六景」シリーズの空や水の部分に藍とベロ藍を混合して使用し、輪郭線はベロ藍を使用

・歌川広重「東海道五十三次」にはベロ藍で青を発揮
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・石灰岩
・貝灰

・貝類:
アラゴナイト(霰石)=ハマグリ(蛤)、ホタテ(帆立)など
カルサイト(方解石)=イタボガキ(板甫牡蠣)など

※日本画では、胡粉(白色顔料/ 昔は鉛白、以降は貝)
貝由来の胡粉として、同じ成分(CaCO3炭酸カルシウム)であっても、霰石と方解石とではわずかながらも物性差(硬度や反射率)があります。
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©️ 関 出    SEKI, Izuru